予告文で学ぶ「ハセカラ語録」

「ハセカラ語録」とは?

Facebook等での唐澤弁護士の発言のうち、その独特の言い回しがハセカラ民(恒心教徒)に特にウケたものは、「尊師語録」と呼ばれて会話の中で面白おかしく引用され、多用されるようになりました。

そのほかにも、H君の発言や、その他騒動に少しでも関係ある誰の発言であっても、それが面白いとみなされればハセカラ民の会話に取り入れられ、自然と流行していきました。

こうして、ハセカラ民の間では、「ハセカラ語録」とでも称すべき独特の言い回しが形成されていきました。

 

この現象は、ホモビデオ「真夏の夜の淫夢」がニコニコ動画を中心とした若年層ネットユーザーに大ウケし、ビデオ中の「これもうわかんねぇな」「やべぇよ…やべぇよ…」「あくしろよ(早くしろよ)」などの言い回しが「淫夢語録」としてネットユーザーに面白おかしく多用されるようになったのと似た現象とみることもできます。

 

一般に、隠語やスラング、符丁の類は、それを使用する集団内の仲間意識を強め、同じ共同体に属することを確認しあう効果があるとされており、「ハセカラ語録」も類似の効果があると考えられます。(中途半端に「語録」を覚えて誤用する者がバッシングを受けるという現象も、この仮説を支持します。)

 

語録として用いられる独特の表現は100を優に超え、ここで全てを解説することは出来ません。

そのため、ここでは一般のニュースでも広く報道されたテキストを題材に、ハセカラ語録について解説いたします。

爆破予告メールにみる、ハセカラ語録

2016年2月、恒心教徒「ださいたま」氏によって行われた連続爆破予告事件は、テレビニュースなどでも大きく取り上げられました。

このとき送られた爆破予告のメールには、「ハセカラ語録」がふんだんに用いられておりました。

そこで、ここでは爆破予告メールをテキストにして、ハセカラ語録について学んでみましょう。

 

当職は弁護士だお前らとは違う
なので今回はガチで爆破しますを。
当職は高性能な爆薬を入手したナリ
栃木市役所の施設内複数個所に高性能な爆弾を仕掛けさせていただきましたを。
爆破時間は2月22日月曜日の午後3時34分ナリ
たくさんの人間が死にますを。身が震える
当職の目指す優しい世界を作るためには仕方ないナリ
愛なき世界に愛を。
ではさようなら栃木市役所職職員共
当職は本気ナリ
覚悟しろナリ 全員ポアナリ
早く逃げたほうがいい。それはできるよね?

 

(栃木県が公開した爆破予告メール。太字は筆者)

 

「当職」

唐澤貴洋弁護士が、一人称として「当職」を用いたことに由来します。

弁護士という職業においては、「当職」という一人称は決して珍しいものではありませんが、ハセカラ民にとっては耳慣れない用語だったため、注目されることとなりました。

また、唐澤貴洋弁護士には「感情的になると文章の中で『当職』を連発する」という性質があり、弟殺し疑惑に抗弁したときや、児童ポルノ閲覧疑惑に抗弁したときなどは一文中に3~5回も「当職」が登場しました。これらの文章は「マシンガン当職」の愛称で親しまれることとなりました。

 

なお、唐澤弁護士はのちに「弊職」「小職」という一人称も用いるようになり、ハセカラ民の間では「『当職』がバカにされたから変えたのか?」、「『○職』への異常なこだわりは何なのか?」などと話題になりました。

唐澤貴洋が文中で使用したことが確認されている一人称は他に、「僕」「俺」「私」「渡し」などがあります。

「自分は弁護士だ、こいつらとは違う」

元ネタは、唐澤貴洋が長距離バスの中で粗相をしたという有名な短編創作「高速バス脱糞」に登場するモノローグです。

弁護士という地位を笠に着て他人を見下し、自分の矮小なプライドを保つという、(創作中の)唐澤貴洋の性格がよく現れているセリフと言えます。

さらに元ネタをたどれば、2008年に流行語となった、福田康夫元総理の「私は自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたと(は)違うんです」からの着想である可能性もあります。

「ガチで」

H君が「八神太一」を名乗って掲示板で活動していた頃の口癖に由来します。

掲示板でしょっちゅう自分語りをしていたH君は、「東京在住」、「震災の際、友達を七人も泊めた」、「(声優の)悠木碧とは結構遊んでた」などと、自分に関する設定のほとんどを嘘で固めており、不自然な点や矛盾を指摘されては次の嘘をつくという有様でした。

そんなH君は一方で、「ガチで○○」、「これはガチ」など、掲示板投稿の中で「ガチ」という言葉を口癖にしておりました。ここでいう「ガチ」とは、「真剣に・真面目に」から転じて「本当に・真実に」という意味を含む若者言葉です。

たびたび掲示板ユーザーに虚言癖を指摘され、誰にも信じてもらえなくなったH君は、「ガチで、ガチで」と必死に連呼することで、自分の話は本当なんだ、自分の話を聞いてくれ、と訴えていたのかもしれません。

 

ちなみに、掲示板でのH君の口癖は、「ガチ」のほかにも「など」「ソース」があり、平均的な投稿よりも極端にこの3ワードの出現頻度が高い投稿はH君によるものと推定され、徹底的に追及・検証されています。

「~ですを」

Facebook中での唐澤弁護士の誤字、「あなたに会って話がしたいですを」に由来します。

唐澤弁護士は2013年3月頃からiPhoneを使い始めており、上記のFacebook投稿はそれから5ヶ月後のことでした。iPhoneの操作に慣れていないことから、「。」と「を」を打ち間違ったのだろうと推測されています。

それまでも、更新されるたび毎回のように誤字のあるFacebookでしたが、一度でも読み直せば小学生でもわかるレベルのこの誤字は特に面白がられると同時に、「事務所のFacebookで情報発信する際にただの一度も推敲しない」という唐澤弁護士の意識の低さが露呈してしまいました。

なお、当該爆破予告中では「~しますを。」という形で使用されておりますが、あくまでも語録としては「ですを」が正式なものであり、「。」をつけるのは誤用とするのが多数説であることに留意してください。

「~ナリ」

これは、唐澤弁護士の実際の発言ではなく、唐澤貴洋アイドルオタク説が定着する過程で創作された、「ももクロライブに行くナリよ~」という架空の発言に由来します。

掲示板ユーザーの間で、実在の弁護士を離れたキャラクターとしての唐澤貴洋が形成されていく中で、この「○○ナリ」というキャッチーな語尾が次第に定着し、語録として用いられるようになりました。

なお、偶然と思われますが、唐澤弁護士の本物の発言(Facebook)にも「当職に確認もせずに誹謗中傷された件では先生のご見識を疑いましたが、お元気でなりよりですという誤字があり、創作の設定が現実の唐澤貴洋に影響し始めている予兆では、と話題になりました。

「33-4」

爆破予告においては、爆破時刻が「3時34分」と指定されるのが定番化しています。

これは「33-4」という数字ネタに由来しますが、これは元々ハセカラ騒動が起源ではなく、ハセカラ騒動発祥の地である「なんでも実況J」板、さらにはその前身ともいえる「野球ch」板において流行していたものです。

 

2005年の日本シリーズは、セ・リーグから阪神、パ・リーグからロッテが出場し争いましたが、結果はロッテの快勝。ストレートの4連勝で日本一を決めました。特に1戦目から3戦目では大きく点差が開き、4戦の合計スコアは「33-4」と、阪神ファンには極めて屈辱的な結果でした。

それから5年後の2010年。ロッテの再度の日本シリーズ出場をきっかけに、再びこのときの戦いぶりが注目されることとなります。この頃、「野球ch」や「なんでも実況J」板では「334」という数字の並びを見るや「33-4」ネタで阪神ファンをイジる発言や、「なんでや!阪神関係ないやろ!」との返しがお約束となっていました。

この流れはのちに、「ニコニコ動画」や「Twitter」などの低年齢層ユーザーにも浸透していくこととなります。

 

なお、数字関連では他にも、例えば爆弾の個数などとして「2783」、「43044」、「40298」もよく使われています。

こちらはどれもハセカラ騒動が由来であり、それぞれ「H君の自宅住所の一部」、「唐澤貴洋の弁護士登録番号」、「唐澤貴洋による自作自演疑惑のある、法律相談サイトの質問番号」が元ネタとなっております。

また、「114514」という数字も時折用いられますが、こちらはハセカラ騒動ではなく、ホモビデオ「真夏の夜の淫夢」を元ネタとする「淫夢語録」なので注意が必要です。

 

余談ですが、オウム真理教の尊師・麻原彰晃の出生時刻は、偶然にも午前3時34分です。

「身が震える。」

唐澤貴洋のTwitterでの発言、「八木圭一先生の「一千兆円の身代金」(宝島社)をいただき、拝読しました。日本のいま我々が直面している問題について、真っ正面から描いており、身が震える。」に由来します。

この発言自体は、何の変哲もない読書感想文です。しかしこの発言は、「ハセカラ民に(アイドルのフォローなどを)注目され、あわててTwitterを非公開設定にしていた唐澤弁護士が、実に2年ぶりにTwitterを公開状態にした」という絶妙のタイミングでなされたものであったため、いやがうえにも注目を浴びました。

「唐澤弁護士がついに動きだした」、「何かを始める前兆では」などと、一時掲示板は盛り上がりましたが、翌朝再びTwitterが非公開設定に戻っていたため、「2年ぶりにTwitterの鍵を開けて書いた内容が、よくわからない読書感想文とは、唐澤弁護士は一体何がしたいのか?(当日放送されていた)スパイダーマンを見てテンション上がっちゃったのかな?」などと面白がられ、語録入りすることとなりました。

 

余談ですが、このとき2年ぶりにTwitterで情報発信した唐澤弁護士は、ハセカラ民の予測通り、このあとすぐにTwitterでの熱心な言論活動を再開します。有名なポエム「空は何色か」がTwitterに投稿されたのも、この1ヶ月後の出来事でした。

「優しい世界」

恒心綜合法律事務所のホームページ内、唐澤弁護士のプロフィールの記載「弟を失い、いつか自分の力で弟のような犠牲者を出さない社会をつくりたい、人が人に優しい社会をつくりたいと思うようになりました」に由来します。

このように、本来は「(人が人に)優しい社会」という表現でしたが、これを誤って「優しい世界」とする表現が生まれました。唐澤弁護士を過度に神格化し、宗教化する流れとの親和性からか、この誤用の方が有名になり、現在ではほぼこちらの形で用いられています。

この言葉は、文字通りの意味で使われることもありますが、どちらかといえば「(唐澤貴洋が所持する)核兵器に対する恐怖心で人々を支配する世界」や「世界人類が唐澤貴洋に帰依した、祭政一致の専制政治体制」など、ディストピア的な世界観を指した、皮肉を含意する用例が大半を占めます。

実際、当該爆破予告でも、なんらかの危険思想を匂わせる使われ方をしています。

「愛なき時代に愛を。」

唐澤貴洋弁護士のFacebook中の発言に由来します。

2013年8月から9月にかけて、「個人情報を流出させた2ちゃんねるに対し、私が代表になって集団訴訟を起こす!」と息巻いていた唐澤貴洋は、幾度となくFacebookに投稿を行っていました。その際、締めの言葉として頻繁に用いられていたのが「新しい時代を。声なき声に力を。愛なき時代に愛を。」というフレーズでした。

このフレーズは、ハセカラ民には「意味不明」、「宗教臭い」とか「自己陶酔に浸っている」という評価を受け、「冗談で尊師などと呼ばれて持て囃されるうちに、本当に教祖になった気でいるのか」とか「いつものなりすましかと思ったら、まさか本物の唐澤弁護士の発言だとは」などと、困惑する声も見られました。

結果、このフレーズの連呼をきっかけに、ふざけて唐澤弁護士を教祖として崇め奉る動きがますます加速化。Twitterでの他の発言と合わせて、「声なき声に力を。愛なき時代に愛を。光無きところに光を。新しい時代を。」は、恒心教における定番フレーズの一つとなりました。

「ではさようなら」

唐澤貴洋の卒業文集掲載の作文『中学時代』のしめくくりの一文、「ではさようなら法政二中」に由来します。

マスコミ報道では、犯罪の容疑者や、メダリスト、ノーベル賞受賞者など、世間で注目を浴びる人物について報じる際にはお決まりのように「卒業文集」、「卒業アルバム」を公開するという習慣があります。そのため、ハセカラ民もそれに習ってH君や唐澤貴洋の卒業文集をリサーチしていました。

唐澤貴洋の中学校卒業文集は、騒動勃発から1年後の2013年3月に有志により公開されました。中学生の頃の唐澤貴洋の顔が明らかになった他、3年1組の学級委員長だったこと、当時文章を書くことがが不得意と自認していたこと、「AIDSの蔓延を防ぐために、マスメディアを使いAIDSへの恐怖心を植え付けることで国民を協力的にさせる」という独特なアイデアを持っていた(持っている)こと等が注目を浴びました。

「ポア」

かつて日本を震撼させたカルト宗教、オウム真理教が殺人を意味して用いていた語「ポア」に由来します。
唐澤貴洋を「尊師」として崇拝する宗教「恒心教」は、その成立当初から、不謹慎にもオウム真理教の用語を多数借用して活動していました。

オウム真理教から恒心教に輸入された用語・概念としては、最上級の地位である「尊師」、尊師に次ぐ地位である「正大師」、殺人を意味する「ポア」、主要施設である「サティアン」、尊師の愛人を意味する「ダーキニー」などがあります。

「それはできるよね。」

第一東京弁護士会の会報誌『ICHIBEN Bulletin』内の座談会記事『若手会員が知っておくべき弁護士業務妨害対策』における、樋口弁護士の発言に由来します。

これは、業務妨害にどう対処していくかを弁護士同士で意見交換するという内容の記事でした。この発言に至るまでの流れを要約して解説します。

森川弁護士により「かつては、弁護活動の相手方から業務妨害を受けるケースが多かったが、近年は依頼者から業務妨害を受けるケースが増えてきている」という説明があり、池田弁護士により「依頼者と弁護士の信頼関係が損なわれたとき、依頼者が妨害者に変身することがある。自分は依頼者が少しおかしいなと思ったときは、他の弁護士と提携して共同受任の形態にしている。助けてくれるし証人にもなるので、若手弁護士にはこの手法を勧めたい」というコメントがありました。

ここで、樋口弁護士が「ネットワークづくりは若い方のほうがうまいですから、「今困っているんだけど」と言ってね(笑)、それはできるよね。」と発言。これに唐澤弁護士が「はい。」と返答しました。

 

他の弁護士の発言に比べ、あまりにシンプルな唐澤弁護士の回答がシュールな笑いを呼び、座談会記事中のフォーマットに合わせる形で「●はい。」という発言が流行。その前振りである「それはできるよね。」とあわせて語録化していきました。

爆破予告におけるハセカラ語録の使用、その影響

このように、ださいたま氏による「爆破予告メール」は、いわゆるハセカラ語録を縦横無尽に使用したものでした。

そのため、ハセカラ民の視点からは、この予告文は徹頭徹尾ふざけ倒したウケ狙いの文章でしかなく、単なるいたずらで書かれたものであることは 明白だったと思われます。

一方、こういった背景に知識のない一般のマスコミの視点からは、独特の文体やオウム真理教用語の使用はただただ不気味な印象を与えるものであったと思われます。実際、犯罪心理学者の出口保行教授は、「わが国で流通している言葉ではないものを使っている。この文章を書いている者の年代や性別などの素性をわかりにくくする意図を感じる」という旨のコメントをしています。また検察は、「市役所へのメールは強烈な内容で、社会の不安をあおるものだ」と陳述しています。

語録を多用することが、こういった正反対の2つの反応を引きおこしましたが、ださいたま氏は以前に「起こりもしない予告に何度も何度も真面目に対応している役所を見ると滑稽でしかない」という趣旨の発言をしており、「明らかにふざけている予告文に、役人やマスコミが過剰反応し大騒ぎする」という構図は、まさに彼の狙い通りだったと考えられます。